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蜘蛛の糸(製品番号154)
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表紙

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1. しめた

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2. おれのもの

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3. まっさかさま

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4. あとにはただ


A5版/28P/組曲
無伴奏 4重唱(SATB)組曲「蜘蛛の糸」
文章 芥川龍之介
作曲 YAMAMOTO Kenji(1970/1/1-)

1. しめた
2. おれのもの
3. まっさかさま
4. あとにはただ

芥川龍之介「蜘蛛の糸」より、
「蜘蛛の糸を登ってゆくカンダタが、一息つく場面」から、
「糸が切れてカンダタが落ちてしまった直後の場面」までを
そのまま抜き出して作曲しています。

全曲(MIDI)


[しめた]
 すると、一生懸命にのぼった甲斐があって、
さっきまで自分がいた血の池は、
今ではもう暗の底にいつの間にかかくれて居ります。
それからあのぼんやり光っている恐しい針の山も、
足の下になってしまいました。
この分でのぼって行けば、
地獄からぬけ出すのも、存外わけがないかも知れません。
カンダタは両手を蜘蛛の糸にからみながら、
ここへ来てから何年にも出した事のない声で、
「しめた。しめた。」と笑いました。

[おれのもの]
ところがふと気がつきますと、蜘蛛の糸の下の方には、
数限(かずかぎり)もない罪人たちが、
自分ののぼった後をつけて、まるで蟻(あり)の行列のように、
やはり上へ上へ一心によじのぼって来るではございませんか。
カンダタはこれを見ると、驚いたのと恐しいのとで、
しばらくはただ、莫迦(ばか)のように大きな口を開(あ)いたまま、
眼ばかり動かして居りました。
自分一人でさえ断(き)れそうな、この細い蜘蛛の糸が、
どうしてあれだけの人数(にんず)の重みに堪える事が出来ましょう。
もし万一途中で断(き)れたと致しましたら、
折角ここへまでのぼって来たこの肝腎(かんじん)な自分までも、
元の地獄へ逆落(さかおと)しに落ちてしまわなければなりません。
そんな事があったら、大変でございます。
が、そう云う中にも、罪人たちは何百となく何千となく、
まっ暗な血の池の底から、うようよと這(は)い上って、
細く光っている蜘蛛の糸を、一列になりながら、せっせとのぼって参ります。
今の中にどうかしなければ、
糸はまん中から二つに断れて、落ちてしまうのに違いありません。
 そこでカンダタは大きな声を出して、
「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸は己(おれ)のものだぞ。
お前たちは一体誰に尋(き)いて、のぼって来た。下りろ。下りろ。」
と喚(わめ)きました。

[まっさかさま]
 その途端でございます。
今まで何ともなかった蜘蛛の糸が、急にカンダタのぶら下っている所から、
ぷつりと音を立てて断(き)れました。
ですからカンダタもたまりません。
あっと云う間(ま)もなく風を切って、
独楽(こま)のようにくるくるまわりながら、
見る見る中に暗の底へ、まっさかさまに落ちてしまいました。

[あとにはただ]
 後にはただ極楽の蜘蛛の糸が、きらきらと細く光りながら、
月も星もない空の中途に、短く垂れているばかりでございます。

価格:300円
在庫あり  注文数:   
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